今月の花(6月)山法師
2メートルほどの高さの木の元は、そこだけ土が掘り起こされ湿っていたので新築を機に植えられたばかりなのでしょう。葉が少しついている木の元には、新しい角材の短いものに「峨眉山ヤマボウシ」とありました。どんな花が咲くだろうか、峨眉山という記述にこれは特別なヤマボウシかと興味を持ちました。
生け花でも、先のとがった4枚の白い花びらのようなものをびっしりとつけたヤマボウシをいけることがあります。花びらと見えるものは実は総苞片で、中央にある小さな丸い形のものが頭上花序、小さな花が集まり球体となっている花です。
はじめ薄い緑色の苞はだんだんに真白になります。やや濃い目の緑の卵型の葉もこの白でおおってしまうように平たく咲きます。僧が白い頭巾をかぶったように見えたところから山法師(山帽子)という名が付いたといわれています。ピンクの紅ヤマボウシもあります。
ヤマボウシは、少し前の季節に咲くハナミズキと間違えられることがあります。同じミズキ科ですがアメリカハナミズキはアメリカ原産、ヤマボウシは日本原産と言われています。ヤマボウシが花苞の先端がとがっているように見える一方、ハナミズキは花苞の端の中央が少しくぼんでいるのでそれが各々を見分ける目安のひとつです。
みずみずしく保つには、水の中で枝の元を切り、切ったところを割ったり、表皮をわずかに削って水揚げをよくします。しかし先日使ったヤマボウシは、3本のうち枝の張った大きなものは水あげが効き6日ほどきれいに保てましたが、2本は見る見るうちにしおれてしまいました。水あげのタイミングを見るのがとても難しいようです。
秋には赤い丸い実をつけ、さくらんぼうのように下がります。表面がごつごつしていて食用にもなり山ぐみと呼ぶところもあります。
前述のビルの前を通った一年後、少し伸びたあの木は葉を茂らせ、2~3輪のややこぶりの白い峨眉山ヤマボウシを咲かせました。秋には紅葉もするようなので楽しみにしています。(光加)